NISAやiDeCoなど、貯蓄から投資への移行を勧める制度が展開されています。
しかし幼少から慣れていた貯金・預金と違い、元本が減るかも、と聞いて最初に思うのは「投資ってこわい」ではないでしょうか。
私もそうでした。
「元本が減るなんて信じられない! 預金こそが堅実でスタンダードな貯め方!」と思っていたくらいです。
でも何かとお金が必要になる世の中。
副業するスキルもない薄給OLでもできそうなお金の増やし方を調べてみると、結局投資に行きつくんですよね。
そして恐る恐る投資を始めてみたところ、「投資ってこわい」という感情は少しずつ和らぎ、「投資っておもしろい」と思うようになりました。
この記事では、投資に対する得体のしれない恐怖心をクリアしていくプロセスを、時系列で記載してみました。
マインドチェンジ7つのハードル
ハードル① 預金金利に絶望してみる

今さら言うまでもないですが・・・銀行の預金金利、安すぎますよね。
年利0.001%て。
100,000円が1年預けて100,001円て。
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1年以内に落ちてる10円拾う可能性の方が高そう
ちなみに最近、ひいおばあちゃん(故人)が残しておいてくれた定期預金の満期通知が手元に届いたんです。
100,000円預けられていて、20年間で102,000円になっていました。
年利0.1%ですから、今と比べたらまだいい時代でしょうか。
20年経った今、金利は目も当てられない状態です。
預金金利が5%あったという時代はもう幻のようになっています。
おそらく誰もが感じていることだとは思いますが、



確かに元本割れはしないけど、預金で貯め続ける意味あるのかな?
という預金への不満が投資への第一歩です。
ハードル② 物価がどんどん上がっていることを痛感してみる


身近な生活の中で「世知辛くなったな」と思うタイミングはありませんか?
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ポテチの中身がやけに少ないときです
こういった「実質値上げ」も含めて、物価は上昇傾向ですよね。
実際、消費者物価を継続的に上げる方向で金融政策が決められています。
これに関連して、年に1~3%ほど基本給が上がる「ベースアップ」のある会社もあります。
このベースアップは会社の業績向上を賃金に反映しているほかに、インフレ率を織り込んでいる場合もあるのです。
インフレで売り上げが1%増えていて、賃金がそのままだと、実質的に賃金は1%目減りしていることになります。
例えば10,000円持っていて、1個100円のものは100個買えます。
しかし物価が上がり101円になってしまうと、99個しか買えません。
ということは100個買いたかったら10,100円必要になってしまいますから、今持っている10,000円は、インフレしていくと以前より価値が低くなってしまうことをベースアップで緩和しているわけですね。
さて、ほとんど増えない預金口座にお金を貯めておくと・・・お金は口座の中に取り残されたまま、外ではインフレが進んでいた、という事態が想像できます。
「預金は安心安全」でしょうか?
むしろ、



預金ってこわい
そう思えてきませんか?
預金してる場合じゃない! って思えてきませんか?
逆にデフレ下では、上述の10,000円の価値は上がるので「預金は強い」ことになります。
しかし国策としてインフレ目標が掲げられている状況と体感を踏まえ、あくまで「投資の心理的ハードルを下げる」ための考え方の一例としてインフレを取り上げました。
ハードル③ 「投資はギャンブルじゃない」本に背中を押してもらう


じゃあ実際にどうすればいいのっていう答えは「投資」です。
「投資ってこわい」と思う一番大きな理由が「ギャンブルっぽくて減るのが嫌」ではないでしょうか。
まず「ギャンブルっぽい」という点に注目すると、確かに投資はギャンブル的に参加することもできます。
というのも、業績を伸ばしている会社であれば長期的に株価も上がっていきそう、と期待できるものの、株価は常に上下にブレながら動いています。
このブレを使い、短期的に安く買って高く売ろうとするほど、ギャンブル要素が大きくなるといえます。
「買ってから売る」までの時間が短ければ短いほど、株価がどのように動くかの予想が難しくなるからです。
なので「資産を減らすのが嫌」という人ほど長期保有を前提とした投資から入って、負け確率を減らすことが大事です。
元本割れのリスクを最小限にして資産を増やすには長期・積立・分散という投資戦略がキモになります。
長期と分散のリスク低減効果
下のグラフは、国内株式の保有期間ごとの平均リターンを表したものです。


一方で下のグラフは、国内株式・海外株式・国内債券・海外債券へ4等分した場合のグラフです。


2つのグラフから、
- 保有期間が長期になるほど損失リスクが減らせる
- 投資商品を分散するほど損失リスクが減らせる。
しかも長期運用していくと、損失が出ない状態になっている(4資産分散の保有期間10年以降)
というメリットを見ることができますね。
積立のリスク分散効果
もう一つ、「積立」は、投資タイミングを分散することによるリスク低減方法です。
毎月一定の金額で購入することで、株価が高いところで一気に買ってしまうことを防ぐことができます。(ドルコスト平均法)
下の図で17,000円のときに全資産を投入してしまっていたら、その後7,000円になってしまったとき大赤字を抱えることになってしまいます。
半値以下になってしまうわけですから、これはさすがにこわい! ですね。


- 一定の金額で積立することで、高値掴みのリスクが減らせる
ことがメリットになります。
このタイミングで読んだ本
この「長期・積立・分散」は大多数の本でリスク低減の最終結論となっています。
それくらい定説といえるので、私にとっては一つの安心材料になりました。
『お金の超基本』は、稼ぐ・備えるなどお金の用途に合わせて幅広い知識が学べます。
お金に関する教養本がとっつきやすいです。
日経WOMANは、投資を始めて〇万円運用してます! といったような特集が組まれていることもあります。
20~50代の働く女性がメインで登場するので、自分と同世代の人もやってるんだ! と思うと、投資を始める第一歩になりそう。
長期・積立・分散は、リスクを最小限にするための投資法であって、利益を最大化する投資法ではありません。
当然大きく利益を取るためには相応のリスクが必要になるわけで、個別銘柄への集中投資などが選択肢になるでしょう。
ハードル④ スタバのラテ1杯分飲んだつもりで得られるリターンにわくわくしてみる


次に「減るのが嫌」という人は、どれくらい減るかもしれないのか、を具体的に考えてみることをおすすめします。
先ほどのグラフで「保有期間1年」の数値に着目してみてください。


元手1,000円で国内株式を買った場合、1年後の資産は下記の平均リターンがあるという意味です。
最高で+107%のリターン:1,000円+1,070円=2,070円
最低で-46%のリターン:1,000円-460円=540円
要するに、うまくいかなかった場合の460円減るリスクを取れれば、1,000円が2,070円になるかもしれない、ということ。
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つまりスタバのラテ1杯分のリスクを取れれば、1,070円増えるかもしれない・・・!?
確かに「飲んだつもり」で減るだけで終わってしまう可能性はあります。
しかしこのグラフのように平均リターンはプラスになる方が多いのですから、平均リターン-50%の宝くじよりも、平均リターン0.001%の預金よりも、投資の方が堅実といえます。
そう考えると、たとえギャンブルであっても割に合うんじゃないでしょうか。
ハードル⑤ 実際にお金が増えることを目の当たりにする


ここまで来たら、実際に投資を始めてみることをオススメします。
というのも、私の場合、実際に自分のお金で経験しなければ、本当のマインドチェンジにはならなかったからです。
そして初心者が一番最初に買うべきは、全世界に投資するインデックス投資信託一択です。
なぜかというと、世界規模という最大限の「分散」になるからです。
一方で、世界より小さい規模(国とか会社とか)の単位で投資してしまうと、その国や会社の情勢に短期的に左右されてしまって、買った直後に一気に下がる確率が世界規模よりも高くなってしまいます。
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いや! この会社は絶対伸びる!! 一気に資金投入だ!
という危ないことは、「伸びるべき会社」が根拠をもって判断できるようになるまでは避けるべきです。
少なくとも投資初心者が一番最初に買う商品としては、リスクが高すぎます。
「卵は1つのカゴに盛るな」です。
そんな誘惑に勝ち、投資信託を買えたら、しばらく何もせずに値動きをみてみましょう。
さて、銀行金利で増えたのと同じ額まで上がるのに、要した期間はどれくらいだったでしょうか?
銀行に預けた100,000円は年利0.001%なら100,001円になるのに1年かかります。
投資した100,000円は、ひょっとしたら次の日には100,001円になっているかもしれません。
実際に自分のお金を動かして、



預金とは比べ物にならない!
と感動できたら、投資熱が一気に高まります。
少額でもポイント投資でも構わないので、「まずは始めてみる」。これが大事です。
ハードル⑥ 赤字のあとの回復を経験する


株式市場は短期的な値上がりを狙って参加している人もいますので、色んな目的と手段を持つ人が入り混じった結果として株価は揺れ動きます。
しかし理論的・長期的には、あるべき価値にふさわしい価格の前後には収まるはずなのです。
全世界株式インデックス=全世界の成長に賭けた ということなので、短期的に値下がりし赤字になっても、先述のとおり「長期的に見て上がっていく」ことが見込めます。
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一時的に下がったけど、また持ち直してきて、微増してるかな・・・?
この感覚を得ることができれば、「投資を続けるのもいいかもしれない」と判断しやすくなるでしょう。
ハードル⑦ ⑤⇔⑥の繰り返しに慣れる


投資を始めることの次に大切なのは何だと思いますか?
それは「投資を続ける(撤退しない)」ことです。
先ほど言ったように、減るのが嫌という人は長期・積立・分散がリスクヘッジになります。
この「長期」の間には、コロナショックのような暴落があるかもしれないし、逆に高騰することもあるかもしれない。
ハードル⑤の増えるフェーズと⑥の減るフェーズを繰り返すことで、時間はかかりますが「(世界的に見て)成長が続いている限り、株価は一時的に落ちても全体として上がっていく」という想定が実感になったとき、投資に対する得体のしれないこわさはクリアできているはずです。
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慣れも大事!
まとめ
「投資ってこわい」から脱却した7ステップ
- 預金金利に絶望してみる
- 物価がどんどん上がっていることを痛感してみる
- 「投資はギャンブルじゃない」本に背中を押してもらう
- スタバのラテ1杯分飲んだつもりで得られるリターンにわくわくしてみる
- 実際にお金が増えることを目の当たりにする
- 赤字のあとの回復を経験する
- ⑤⇔⑥の繰り返しに慣れる
投資を始める心理的ハードルを下げる考え方を7つ紹介しました。
これらは実際に私が投資を始めて、日々の値動きに一喜一憂しなくなり、「投資っておもしろい」と思うに至るまでをまとめたものです。
この7ステップを経るのに私は2年くらいかかりましたが、今では「もっと早く投資恐怖症を克服して、投資を始めておくべきだった」と後悔しています。
なぜかというと、本文中でも書いた「長期・積立・分散」はリスクを下記のように減らしています。
- 長期 → 数年~数十年単位で持ち続け、短期的な値動きで損失確定してしまうリスクを減らす
- 積立 → 買うタイミングを分けて、高いときに買ってしまうリスクを減らす
- 分散 → 商品(株/債権など)・国(国内外、先進国新興国など)・業界などを分散することで、値動きのブレを減らす
特に「長期」という点では、始めるのが若ければ若いほど有利。
先延ばしすることなく、まずは少額からでも「とりあえずスタート」が最大のリスクヘッジなんです!
投資のリスクはゼロにはできません。ですが、やり方次第でリスクを抑えられるのも事実です。
ほどほどのリスクに慣れつつ、堅実に資産を増やしていけたらいいですね。